VS.オミクロン 治療薬期待度ランキング2021年12月25日 12:04

VS.オミクロン 治療薬期待度ランキング
1 パクスロビド(ファイザー 飲み薬) 一番効きそう
2 モルヌピラビル(メルク 飲み薬) オミクロンでも効くはずだがもともと効果が弱そう
3 mRNAワクチン(ビオンテック/ファイザー、モデルナ) 感染阻止効果はかなり落ちるが、重症化防止はある程度効く
4 ロナプリーブ(抗体カクテル ロシュ) ほとんど効かない

 なので、オミクロン株軽症の際はパクスロピドをお勧めする。

 1)パクスロビド。プロテアーゼ阻害剤。細胞内でウイルスRNAの設計図を元につくられるウイルスたんぱく質はプラモデルの部品のようにつながって出て来る。これを切り離すカッターがプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)。パクスロビドはこのカッターにくっついてウイルスの組み立てを邪魔する。ウイルスごとに切るたんぱく質が違うため、カッターの形も違い、阻害剤は異なるウイルス間で転用できない。そのため、ウイルスごとに特化した薬がつくられ、活性が非常に高い。また、ウイルスの膜表面のたんぱく質が変異しやすいのに比べ、プロテアーゼは変異してしまうと本来の機能が果たせなくなり、ウイルスの増殖に支障が出るため、この薬が効かなくなるような変異は起きにくい。そのため、オミクロン株にもよく効く(はず)。
 2)モルヌピラビル。RNA合成酵素阻害剤。細胞内で、ウイルスのRNA合成酵素がRNAをつくるのを邪魔する。RNAの部品によく似た化合物で、RNA合成酵素が部品と間違えて使ってしまい、正常なRNAがつくれなくなる。レムデシビル、アビガンなども同じ。やはり、変異の影響を受けにくいはずだが、そもそもの効果に疑問符が付く。これら3つはいずれもインフルやエボラなど他のウイルス用に開発されていた薬の転用で、何にでも効くが切れ味はいまいち。モルヌピラビルも「入院・死亡リスクを約30%下げる」程度だと死亡率で有意差の出なかったレムデシビルと大差ない。
 3)mRNAワクチン。従来株のスパイクたんぱく質に対する抗体がスパイクたんぱく質の変異によってオミクロン株に結合しにくくなっていると考えられるが、変異していない場所に結合する抗体ががんばっているのだろう。
 4)ロナプリーブ。2種類の抗体を混ぜたものだが、効果が著しく落ちているということは、両方ともオミクロン株で大きく変異してしまった部位に結合する抗体なのだろう。なお、単体の抗体医薬ソトロビマブ(GSK)はそこそこ効くようdふぁ。

>>フランスは、22日、メルクの臨床試験の結果が当初期待していたほどではなかったとして発注をキャンセルし、代わりにファイザーの飲み薬を調達する方針を明らかにするなど、ヨーロッパでは対応が分かれています。
◆メルクのコロナ飲み薬 欧州で対応分かれる 厚労省あす承認審査
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211223/k10013401361000.html
>>ウイルスの増殖を抑える能力を示す「中和活性」がこれまでの変異ウイルスなどに比べて少なくとも1000分の1に低下したということです。
◆抗体カクテル療法 オミクロン株に効果期待できず 投与推奨せず
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211225/k10013403691000.html