変装芸能人vs追っかけが如き変異株vs中和抗体 今の所パパラッチの勝ち2021年05月12日 22:28

変装芸能人vs追っかけが如き変異株vs中和抗体 今の所パパラッチの勝ち
 市中感染の状況観察で、「変異速度が速い」とか「強毒化してる」とか「ワクチンの抗体が効かない」とか言ってもほとんど当てにならないので疑似でもこういう実験は意味がある。
 昼間からミヤネ屋など中和抗体の意味も知らない人たちがずっとこの話題を取り上げてたが。細胞の表面には、細胞に侵入するためのドアを開ける鍵穴があり、コロナウイルスの表面に突き出たギザギザ・スパイクにこの鍵穴に合う鍵がある。中和抗体は、このスパイクの鍵にくっついて無効化し、ウイルスがドアを開けられなくする。感染速度を速める変異はこの鍵が鍵穴に素早く差し込めるように形が変わる変異。ワクチンが効きにくくなる変異は、中和抗体がこの鍵にくっつきにくくなる変異だ。

■「変異株に対する中和抗体を有していた」は奇妙な説明

横浜市大の山中教授だけでなく、海外のワクチンメーカーなども、「ワクチン接種者は変異株に対する中和抗体も持っている」という言い方をするようだが、この表現はおかしい。従来株の遺伝子(RNA配列)を使って作ったワクチンでできるのは、従来株に対する中和抗体だ。「ワクチンでできた従来株に対する中和抗体が、変異株に対しても有効」というのが正しい。抗体は自分が担当する外敵のたんぱく質を厳密に見分ける。ウイルスのたんぱく質にワクチンの効果を下げるような変異が起きるということは、芸能人が顔バレを恐れてサングラスやマスクをするようなもの。従来株に対するワクチンでできた中和抗体はパパラッチやしつこい追っかけファンみたいなもの。目指すタレントが顔を変えても気づくかどうか。今回の結果は、変異株になってもかなり顔バレ、身バレして襲われてしまうということだ。とはいえ、変異すれば、中和抗体の反応(中和活性)は少しは落ちるはず。日本で現在唯一承認されているビオンテック/ファイザーのmRNAワクチンは免疫を誘導する効果が異常に強いようなので、ウイルスの鍵と中和抗体の相性が多少落ちても量で圧倒して逃がさないということだろう。
 山中教授たちの開発したのはこんな方法だ。まず、疑似ウイルスをつくる。この疑似ウイルスが試験用の細胞の鍵穴に鍵を差し込み、ドアを開けて細胞の中に侵入すると光る細工をする。中和抗体が疑似ウイルスの鍵にくっつくと、ウイルスがドアを開けられなくなり、光らなくなる。疑似変異株をつくり、同じ実験をする。疑似変異株に中和抗体が効かなければ細胞は光る。中和抗体が効けば細胞は疑似従来株と同じように光らなくなる。定量的な議論はできなさそうだが。

◆新型コロナ変異株に対するワクチン接種者の約9割が 流行中の変異株に対する中和抗体を保有することが明らかに
https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2021/20210512yamanaka.html

補足 訂正を付けました

◆訂正 製薬は正確 >>変装芸能人vs追っかけが如き変異株vs中和抗体 今の所パパラッチの勝ち
https://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/05/13/9377119