攻撃力のN501Y 防御力のE484K 両方持てばスーパー無敵コロナとかないからね ― 2021年04月17日 13:10
最近はやりのN501Y変異。英国由来のVOC-202012/01株で有名になったこの変異は感染効率を上げ、感染速度を加速するとされる。いわば、攻撃力をアップする変異。これに対し、もう一つ有名なのが、E484K変異。感染回復者の血清やワクチンでできる抗体の攻撃を回避する変異とされる。いわば、防御力をアップする変異。じゃあ、両方の変異を持てば、攻撃力も防御力も最高なスーパー最悪コロナが誕生するとか、そういう安いSFみたいな事はない。どちらも、コロナウイルスが細胞にとりつく時のアンカーに使うスパイクたんぱく(王冠のギザギザ部分)に起きる変異です。501番目と484番目のアミノ酸なので、たんぱくでの位置は違うが。N501Yはスパイクがより細胞にくっつきやすくなる変異。E484Kは抗体がスパイクにくっつきにくくなる変異。これってけっこう矛盾する変異なのだ。両方変異すれば、どっちも最強って、そんなチートゲーマーみたいな事は自然界では起きない。人間のゲーマーだって限られたポイントを攻撃力と防御力にどう振り分けるかでかなり悩むわけで、どっちも最大値とかできない。防振り(防御力に極振り)をテーマにした人気小説があるぐらいだ。
もう20年以上前の満屋裕明さんたちのHIVの研究だが、AZTやddIといった抗HIV薬が複数入った多剤環境でHIVを育てると、最初に起きる変異で多剤耐性を得るが、その代わり増殖能力が大幅に落ち込む。そして、次に起きる変異で、薬剤耐性能力を少し犠牲にして、増殖能力をそこそこ取り戻すという多段階変異をする。
N501Y変異が入った英国由来のVOC-202012/01株は感染が速いので席巻してるが、ワクチンの効果はそれほど落ちない。N501Y変異とE484K変異の両方が入った南ア由来の501Y.V2株やブラジル由来の501Y.V3株は試験管内実験ではワクチンの効果が結構落ちる。しかし、同時に感染速度も上がっているかというと疑問。感染速度が速いというのは、元の株を押しのけてメジャーになることから速度が速いと推定するわけだが、感染速度が遅くても、抗体からの攻撃を避ける能力が高ければ結果的に古い株を押しのけて幅を利かす。それと変異によって試験管内で抗体との反応が弱まっても、人体でも同じ結果になるとは限らない。抗体の能力が半分になっても、抗体の濃度が10倍あれば効く。もともと大して効いてないインフルの不活化ワクチンと違って、コロナのmRNAワクチンは免疫を刺激する効果が引くほど強いので。鬼神のごとき武田や上杉を相手に、兵士1人1人が織田軍のように弱くても、100倍いれば勝てるという事だ。
◆英国型変異株、5月中に全国で主流の可能性 専門家組織
https://digital.asahi.com/articles/ASP4H63V7P4HULBJ00J.html
もう20年以上前の満屋裕明さんたちのHIVの研究だが、AZTやddIといった抗HIV薬が複数入った多剤環境でHIVを育てると、最初に起きる変異で多剤耐性を得るが、その代わり増殖能力が大幅に落ち込む。そして、次に起きる変異で、薬剤耐性能力を少し犠牲にして、増殖能力をそこそこ取り戻すという多段階変異をする。
N501Y変異が入った英国由来のVOC-202012/01株は感染が速いので席巻してるが、ワクチンの効果はそれほど落ちない。N501Y変異とE484K変異の両方が入った南ア由来の501Y.V2株やブラジル由来の501Y.V3株は試験管内実験ではワクチンの効果が結構落ちる。しかし、同時に感染速度も上がっているかというと疑問。感染速度が速いというのは、元の株を押しのけてメジャーになることから速度が速いと推定するわけだが、感染速度が遅くても、抗体からの攻撃を避ける能力が高ければ結果的に古い株を押しのけて幅を利かす。それと変異によって試験管内で抗体との反応が弱まっても、人体でも同じ結果になるとは限らない。抗体の能力が半分になっても、抗体の濃度が10倍あれば効く。もともと大して効いてないインフルの不活化ワクチンと違って、コロナのmRNAワクチンは免疫を刺激する効果が引くほど強いので。鬼神のごとき武田や上杉を相手に、兵士1人1人が織田軍のように弱くても、100倍いれば勝てるという事だ。
◆英国型変異株、5月中に全国で主流の可能性 専門家組織
https://digital.asahi.com/articles/ASP4H63V7P4HULBJ00J.html
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