ワクチン被害予想で自己免疫疾患は何故か聞かない2021年02月19日 13:53

 mRNAワクチンは効果が高いが、高すぎて自己免疫疾患の呼び水になる恐れがあるのではないか。いくつかの所にそんなような事を書いてきたが、何を懸念しているのか、一般にはいまいちピンときてもらえないようだ。
 ■不活化ワクチンなどウイルスたんぱくそのものを注射する従来のワクチンの場合
免疫細胞(抗原提示細胞と呼ばれている)が落ちているウイルスのタンパクを拾い食い。こんなのが侵入して来ていると自分の表面に看板を出す。その情報が引き金になって抗体の生産が始まる(液性免疫)。
 ■mRNAワクチンは、細胞の中にmRNAが取り込まれ、細胞内でウイルスのタンパクが作られる。その細胞自身が表面に看板を出す。すると、その細胞はウイルスに感染されて乗っ取られたと免疫系から見なされ、免疫細胞に襲われる(細胞性免疫)。抗HIV薬の開発で有名な満屋裕明さんはこれを周りの家ごと壊す「江戸の火消し」(破壊消防)に例えていた。細胞がウイルスのタンパクを作リ始めるというのは、侵入したタンパクが漂っているだけの状態に比べ、かなり感染が進行した段階。いきなりそんな状態になったら免疫が強く反応しても不思議はない。この破壊消火などでウイルスたんぱくがまき散らされるので、液性免疫ももちろん誘導される。
 つまり、mRNAワクチンは(アストラゼネカのベクターワクチンも)、不活化ワクチンなどに比べて、本当のウイルス感染との類似度がより高い疑似感染状態をつくる(あくまでも疑似。生ワクチンのように他の細胞への感染性があったり、増殖したりすると思い込んでる人もいるが)。
 外敵と戦うための免疫系が自分自身の臓器や細胞を敵と間違えて傷つける自己免疫疾患には関節リウマチのように患者の多いものなどいろいろある。その中に、マイケル・ジャクソンがかかっていたとされる全身性エリテマトーデス(SLE)や大原麗子がかかっていたギラン・バレー症候群など、体内でウイルスのタンパクが作られる事が原因ではないかという説が近年の研究で出ているものがある。また、ウイルスが通常は感染しない細胞にウイルス感染が起きるとまれに自己免疫疾患になることがあるそうだ。筋肉注射で筋肉細胞がどれぐらいウイルスたんぱくを作るのか、筋肉細胞がふだんウイルス感染を受けているのかなど不明な点が多い。また、重症のギラン・バレー症候群やSLEなどは非常にまれだ。どんなワクチンでも数百万回に1回ぐらいは重篤な健康被害が起きるリスクはある。今回、アナフィラキシーショックが数万回に1回と季節性インフルワクチンなどより少し高めに出ている。安全性試験に長期間かけられなかった今回の場合、自己免疫疾患にしてもその程度になる事はあるかもしれない。が、ひどく高率で出る事はないだろう(医学生物学に絶対はないが)。
とはいえ、そういう事があり得る事やもっと予想してない事が起きるかもしれない事は意識しておくべきだ。
 専門家が話題にしているのをめったに見た事ないが、可能性はほとんどないと思っているのか、可能性はあるが低いのであえて取り上げてまた忌避反応を起こしたくないという事なのか。

◆コロナワクチン画期的貢献のカリコはノーベル賞当確か 英雄視はまだ怖い
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/12/26/9330638

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