ワクチンでファイザーが値上がりしない理由2021年02月15日 14:34

「ワクチンが承認されたのに、ファイザーの株価はどうして上がらないのか」と質問されるのだが、短期投資家なんて競輪や競艇好きのばくち打ちと大差ない人たちの考えてる事なんて分からない。なので、ワクチンで景気回復への期待感はあるのに、ファイザーの業績への期待には何故つながらないかについて科学的な観点からだけ答えておいた。

1)まず、抗がん剤のなどの治療薬に比べ、ワクチンは利益が少ない事。
ビオンテック・ファイザーのワクチンは最新技術のmRNA医薬で1回分19.50ドル。これが政府への引き渡しの原価とすれば、中国製コロナワクチンや日本のインフルワクチンなどのような不活化ワクチンに比べるとかなり高価。そうは言っても、抗がん剤のように1人分何十万、何百万というわけにいかない。

2)それでも、シェアを取れば、それなりに儲けが出るだろうが、中国製など安くて低技術なワクチンが増えれば、アフリカ、南アメリカなど低所得で人口が多い地域では太刀打ちできない。

3)さらに、いつまでワクチンの需要があるか分からない。
抗がん剤は一度使い始めると一生使い続ける物も多く、また、患者がどんどん増えるので、特許が切れるまで何十年もずっと利益が上がる。しかし、コロナウイルスはRNAウイルスとしては例外的に変異しにくいウイルスなので、一度ワクチンを使うと、インフルのように毎年接種する必要はないかもしれない。いま、新型コロナウイルスの致死率がインフルより高いのは、免疫の過剰反応で起きるサイトカインストーム症候群(おとなしい怪獣よりウルトラマンやウルトラ警備隊による街の破壊の方が迷惑な円谷特撮状態)が原因。これは人類が初めて経験するウイルスであるためと考えられ、多くの人が一度かかってしまえば風邪のコロナウイルスのようにありふれた常在ウイルスになってしまう可能性もある。すると、感染やワクチンが全人類に一巡してしまうともうワクチンが必須でなくなるかもしれない。そんな状況で、あんな扱いづらいワクチンは生き残れない。


◆コロナ重症化は円谷特撮状態 怪獣よりウルトラマンの迷惑の方が大きい
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/01/14/9337488

◆新コロ致命率はインフルの100倍
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2021/02/14/9347090