人体実験は短縮できない 速かったのは運が良かっただけかもしれない2021年02月10日 14:56

 ワクチンや薬の開発(完成)には、物作りの段階と人体実験による有効性と安全性の検証の段階の2段階がある。物作りの段階は、mRNA医薬のような新技術の導入で大幅短縮が可能だが、人体実験はどんなに技術が発達しても短縮や省略はできない。
 今回、有効性の証明が非常に短期間でできたのは、予想以上にmRNAワクチンの効果が高かったという運の良さが働いている。2万1000人の参加者で数カ月間にわずか162人しか発症しないので、これがワクチンを打つと120人に減るとか微妙な効果では承認できないだろう。それが発症わずか8人、有効率95%というヒクほど強い免疫の誘導が起き、思いの外有効性が短期間で証明できてしまった。事前の研究でもmRNAは獲得免疫の誘導が強いと報告されていたようだが。しかし、安全性の方は急性の症状はほとんど問題ないようだが、これほど効果が強いと長期の安全性は想像がつかない。有効なワクチンであれば数百万回に1回ぐらいは重篤な健康被害のリスクがつきもの。それが数万回に1回ぐらい高率になってもしょうがないという事だろう。

◆(科学の扉)ワクチン、短期開発のわけ ウイルスのmRNA注射、変異にも即応可
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14792296.html