ワクチンの効果が見えないのは当たり前 小坊でも分かる算数2021年01月22日 14:18

新型コロナウイルスワクチンの接種が英米で始まって1カ月たったのに全然効果がないじゃないかという質問もよく受けるが、当たり前。小学生でも分かる算数だ。臨床試験に参加した2万人でたった160人しか発病しないのに、それが20分の1の8人まで減ったって「効果の見える化」は不可能。接種率が人口の数十%に達しなければ実感は無理だ。
 発症予防効果95%というのは、接種した人たち限定の中で、さらに発病する人限定の人数が95%減るだけなのだ。
 国民全員がワクチンを打てば、発病者は95%減って20分の1に減るが、国民の1%しかワクチンを打っていないと、減るのは1%に対する95%で、全体から見れば0.95%しか減らない。国民の2割がワクチンを打てば、発病者が19%減るので、少し減ったなという実感は出るだろう。
 仮に、イギリスで毎日1万人が発病しているとする。国民全員がワクチンを接種すれば、これが500人に減るということ。そして、1万人を5000人以下に半減させるには国民の53%がワクチンを接種する必要がある。
 さて、400万人の中には接種したばかりの人もいるから、十分免疫がついている人は半分の200万人ぐらいとしよう。国民の3%だ。この3%の中から発病するはずの人数は毎日1万人のうち300人。その95%にあたる285人(2.85%)が発病しなくなる。1万人が9715人に減る計算。これじゃあ日々の変動と区別がつかない。
 接種率が今の5倍ぐらいになって、やっと少しは減ったと実感できるぐらいだろう。
 感染予防についてはまだ信用できそうなデータがないので省略したが、感染もある程度阻止できるなら効果の見える化は上記より早まる。


◆イギリスのワクチン接種、400万人を達成 対象者拡大へ
https://www.bbc.com/japanese/55716147