緑茶と紅茶は葉が違う 製法の差だけ常識の間違い2020年08月15日 08:20

緑茶と紅茶は葉が違う 製法の差だけ常識の間違い
 久しぶりにダージリンのファーストフラッシュを飲んだ(写真の真ん中)。この製品はたぶん本当のダージリンだ。茶葉はやや緑や黄色がかっていて、煎茶や中国茶に近い感じがする。紅茶の色合いも黄色みがあり、風味や味わいはいわゆる紅茶とは全く違う。日本茶や中国茶のお茶感があるのだ。「緑茶、紅茶、烏竜茶の原料は皆同じ茶葉で、加工法が違うだけ」。この俗説を信じている人が結構多いようだ。普通になじみのある紅茶と、日本茶や中国茶は葉が違う。茶葉の原料にある植物には2種類あるのだ。
 元々、お茶に使われていた葉は今では中国種(バラエティシネンシス)と呼ばれている。イギリス人が中国からインドに持ち込み、標高の高いダージリンで栽培したのが本来のダージリン紅茶。中国種はダージリンのような涼しい地域であればともかく、インドの熱帯気候は生育に向かない。いつごろの事かはっきりしないが、インドのアッサム地方で野生種として発見されたのがアッサム種(バラエティアッサミカ)。生物学的には同じ種とされているが、中国種より葉が大きく、背も高い。ニルギリ、ジャワ、ケニアなどもアッサム種を栽培した紅茶。英語でblack teaと言うだけあって、見た目が黒い。
 ところで、本来緑茶に使われる中国種をダージリンのように紅茶にしたものはあるが、その逆、本来紅茶に使われるアッサム種を緑茶にしたものは聞いた事がない。アッサム種の生の葉をかじってみた事があるが、中国種の葉に比べ、メチャクチャ苦い。発酵させて紅茶を作る過程で苦みが減る。おそらく、アッサム種を蒸すだけで発酵させない緑茶にすると苦すぎて飲めないのだろう。