検査に殺到 精度は? 方法が重要 コロナ抗体検査2020年04月22日 12:26

 こんなに簡便に出来るということはこれまでの市販品に比べてそんなに精度が高くないのではという気がする。イムノクロマト法だろうか。それと、中和抗体を見ているのかどうか。抗体があっても感染防御に役立たない抗体じゃしょうがないし、感染を増強してしまう抗体だったら返って危険。
コロナ抗体検査、NYで始動 1日2000件に市民殺到
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58339750S0A420C2000000/?n_cid=NMAIL007_20200422_H

市販のコロナ抗体検査,精度は「使えねえ」レベルな感じ2020年04月22日 18:26

 キャプテン・スカーレットのようなヒーロー(一度コロナの手に落ちているので、コロナにやられない人)を効率的に探し出すには、抗体検査が必要。だが、国立感染症研究所の評価だと、すでに市販されている迅速簡易検出法は「使えねえ」感じだ。
 ウイルスに感染すると、まず、IgM(免疫グロブリンM)という抗体ができる。IgMは感染初期に現れ、比較的短期で消える。遅れて出てくるIgGが抗体の主役で、ウイルスと抗体が戦っている宴たけなわの頃。抗体の勝利で終わると、IgMは消えるが、IgGはウイルスがいなくなった後も、少しずつ減りながら、長期残留する。

ウイルスに感染の初期 IgMのみ
ウイルスと免疫戦闘中 IgMとIgG
ウイルス消失免疫勝利 IgGのみ

とまあ、理想的なモデルではこうなる。
感染研がPCR陽性確定患者の血清を使って調べたら、症状が出てから6日間は全然抗体が検出されない。IgMの検出がよくない(最終的に6割。IgGに先行しない)。
nが少ないとはいえ、このレベルの精度では投入しても混乱を呼ぶだけでは。
 抗体検査でどんな抗体を見ているかも重要だ。抗体にもいろいろあって、どんな抗体でも抗体さえあれば必ずウイルスを阻止できるわけではない。

<迅速簡易検出法(イムノクロマト法)による血中抗SARS-CoV-2抗体の評価>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/9520-covid19-16.html

150回使えるなら欲しい 環境マニアはマスクを批判しろ2020年04月23日 18:04

 去年までエコがどうとか騒いでいた環境マニアの人たちはどこへ行ったのだろうか? 毎日、とてつもなく大量のマスクが使い捨てにされる資源の無駄遣いと、しかも道端に捨てられて環境汚染。二重に全くエコじゃない。マスクの効果なんて信じてないので普段使ってない。が、会社とか病院とかマスクしないと入れてもらえない所があるので、常に携帯はしておかないと。150回使えるなら1650円はぼったくりではない。アベノマスクと違って性能はまともだし、部品が全部国産品だからしょうがない。しかし、今回の件で有名になる前から注文殺到なようなので手に入れるのは無理だろうな。

<首相の「アサヒノマスク」発言が物議 2枚3300円の製造元、調べてみると…>
https://mainichi.jp/articles/20200420/k00/00m/010/195000c

抗体検査信用できず 何を今さら 感染研がずっと前に言ってる2020年04月23日 22:06

「既存の新型コロナウイルス抗体検査は信頼できない」ロシュCEO
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/ceo-30.php
 そんなことはずっと前に国立感染症研究所がサイトに載せている。目立たないし、一般人が見てもよくわからないけど。
<市販のコロナ抗体検査,精度は「使えねえ」レベルな感じ>
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/04/22/9238178

献血でコロナ抗体検査の評価って理解不能2020年04月24日 12:10

 厚労省の要請で、日赤が献血血液を使い、新型コロナウイルスの抗体検査測定キットの信頼性を評価するという。一体、どうやって評価するつもりなのだろう?
 絶対的に信頼できる抗体検査法がすでにあって、それと比べて陰性・陽性が一致するか調べるのだろうか。そんな検査法あるんだろうか?
 信頼度、精度を調べるには、国立感染症研究所が以前に市販キットでやったように、PCRで感染が分かっている患者の血液を使うのが理にかなっている。それもただ検査するのではなく、発病前、発病後、回復後(ウイルス消失後)と時期によって抗体の検出がどう変わるか見る。献血血液で、抗体検査とPCRを両方やったとしても、PCRは献血の時点でウイルスがいるかどうかわかるだけだ。抗体はウイルスが消えた後でもなくならないので、今、PCRが陰性でも、過去に感染していれば抗体検査は陽性にならなければならない。何をどうやって評価するつもりなのか理解に苦しむ。
 すでに評価の固まった抗体検査法で、献血血液を調べ、既感染率を調べるというなら意味は分かるが。
http://www.jrc.or.jp/activity/blood/news/200422_006170.html

6才でもお姉ちゃんはお姉ちゃん 「妹いるから」残った女児2020年04月24日 18:06

>3歳の女児は事態がのみ込めず動き回っている。

>6歳の女児は右手が包丁に触れ、出血していた。男は「この子を先に解放する」と警部補に伝えたが、女児は「妹がいるから残る」と断ったという。

>6時間ぶりに解放された女児らは、母親の顔を見ると泣きじゃくったという。

 何か難しい理屈は一切なく、「一人は可哀想」「自分がいなくなったら泣いちゃうんじゃないか」という自然な感性なんだろうね。

https://digital.asahi.com/articles/ASN4R3GMNN4QTIPE02X.html

ずるくない? ボロマスク国民に押しつけて首相は高級マスクですか2020年04月25日 10:45

 ところで、フジのニュースが、首相官邸にこの高性能マスクを持ってきた泉大津市の市長から補佐官が直々に首相と自分の分合わせて4枚、定価(ケチッ!)の6600円で買ったと言ってた。
 小学生が家にある布で作れるようなボロ・マスクを国民に押しつけておいて、自分は150回再使用できる高級マスク使うなんて。首相は責任もってアベノマスクを付ければいいんだから、その高性能マスク、私に売って。定価以外に、町おこし「泉大津マスクプロジェクト」に1万円寄付も付けるんで。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14453723.html?iref=pc_ss_date

アビガンで残念なお知らせ まだ希望はあるが2020年04月26日 08:08

 国立感染症研究所が、承認済みの薬剤約300種類で新型コロナウイルスに対する効果を見た論文のプレプリント(正式発行前のパイロット版のようなもの)がネットに出回っている。
 NHKや共同通信、産経新聞などが、ネルフィナビル(エイズ治療薬)とセファランチン(白血球減少・脱毛症薬)が効果を示し、新たな治療薬候補になるとニュースにした。NHKなどは気づかなかったようだが、この論文にはもっと重要なデータが載っている。
これまで言われてきたクロロキン(CLQ)やネルフィナビル、セファランチンなどは薄い濃度で効いてるが、アビガンはこれまで効くとされてきた濃度60μMにしても全然効いてない。中国の臨床試験(RCT)で効果を否定されたカレトラの主成分ロピナビルよりもダメ。アビガン以外の4つは、細胞を傷害する濃度との間に数十倍の差がある。そもそも60μMですら、対インフルの約20倍。細胞を傷害する濃度との倍率があまり大きくない。(μMはμmol/L)
 同様なデータはほかの研究者からも寄せられているという。又聞きだが、ノーベル賞級の第一人者も効かないと言ってるそうだ。
 日本のウイルス学と抗ウイルス薬研究は世界でもトップレベル。彼らが(少なくとも細胞を傷つけないで濃度では)抗ウイルス活性がないと言うなら、おそらくない。
 ただし、抗ウイルス活性以外の理由で、アビガンが効くという可能性は残る。例えば、インターフェロンを活性化しているとか。
 また、感染研が実験に使っているのは、VeroE6/TMPRSS2細胞というアフリカミドリザルの腎臓の細胞なので、人間の肺の細胞を使ったら違う結果になる可能性もゼロではない。
 首相が富士フイルムの社長と仲がいいから忖度で書かなかったとかまたぞろ陰謀論を流す人が出るんだろうな。まともな砦に所属して仕事をしている記者は今の段階では書けなくて当然。しかし、逆に、アビガンをもてはやすような記事を書いて、期待を高めすぎるのは問題だ。
 とりあえず、6月に出る予定の富士フイルム富山化学の臨床試験結果を待つしかない。。もし期待はずれだった場合、反動が大きいだろうね。また、いい結果が出たとしても、ブラインド試験ではないので、意図的でないバイアスや利益相反などを見極めなければならない。
 インフル薬もそうだが、ほっといても9割以上が自然回復するような病気の効果を確かめるのは非常に難しい。重症患者の死亡率を下げる効果があるかどうか、今のところ疑問符だらけ。
https://www.researchgate.net/publication/340714038_Multidrug_treatment_with_nelfinavir_and_cepharanthine_against_COVID-19

アビガンに不都合な点ごまかしてない? 開発者の緊急提言
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/03/31/9230040

アビガン濃度20倍!にすれば効くかも コロナ 大丈夫か?
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/03/07/9221674

そりゃ効くよ(試験管内では) コロナの治療法になるかは別問題 評価法の確立が必要
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/02/26/9218028

タミフルよりアビガンな理由 コロナに効きそうな薬はRNA合成酵素阻害剤
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/02/22/9216635


訂正 首相とゴルフをしているのは社長ではなく、会長兼CEOでした。

コンコルド搭乗記 最後の社会部記者鍛治壮一2020年04月27日 15:45

コンコルド搭乗記 最後の社会部記者鍛治壮一
 今回は、世界初にして唯一の商業超音速旅客機コンコルドが就航を終えた2003年に書かれた搭乗記。載ったのは40年前。1人あたりの旅行代金に驚かされる。萩尾望都やちばてつやら売れっ子漫画家たちにとってはどうって事もない金額だろうが、サラリーマン家庭でコンコルドに乗りたいからと言ったら離婚と引き換えだろう。

専用ブログはこちら↓
<F15に初めて乗った男 最後の社会部記者・鍛治壮一の書斎に眠る昭和-平成史>
https://kajisoichi.hatenablog.com/

2003年6月14日、パリ、ル・ブルジェ空港のエアショーで。撮影・鍛治壮一
「書けなかったこと 書きたいこと」

◆コンコルドでリオデジャネイロ

 コンコルドが、まもなく運航を中止する。
 燃料を食う。運賃が高い。そして一昨年の墜落事故と同時多発テロ、アフガニスタンとイラクの戦争。コンコルドにとってマイナスの出来事ばかり。中止と決定して、乗りたい希望者が増えた、ともいう。僕は、PRのため羽田に来日した時と、“世界一周旅行”でパリ-リオデジャネイロをコンコルドに搭乗できた。

◆「コンコルドに乗りたーい」。松本零士、ちばてつや

 エールフランスのコンコルドが、パリ-ニューヨークのほか、パリ-ダカール-リオデジャネイロに就航していた1980年夏だった。やはりオイルショックで、パリ-リオデジャネイロ線を運休するという話が出ていた。友人である漫画家の松本零士とちばてつやが、「いまのうちにコンコルドに乗る」と言い出した。「宇宙戦艦ヤマト」や「あしたのジョー」で猛烈に忙しい2人だが、1ヶ月の休みをとって実行すると堅い決意である。僕は、同行取材して「世界一周」の漫遊記を書くことで、毎日新聞社が出張を認めてくれた。当時すでに防衛庁記者クラブ詰めだったから、いまから考えると夢のような話だった。なにしろ、旅行代理店に払った旅行代金が1人250万円だったのだから。

◆猛然と離陸上昇す

 パリまでは日本航空の B.747で。まだ給油のためアンカレッジ経由である。パリで『ポーの一族』『トーマの心臓』など女流漫画家の第一人者、萩尾望都が参加した。「男の人から旅行に誘われたのは初めて」だそう。
 エールフランス085便リオデジャネイロ行きは午後1時出発。3時間も前にド・ゴール空港に着くと、当時は最新鋭の第1ターミナル・サテライトの待合室へ。「コートはここでお預かりします」「シャンペンをご自由に召し上がって下さい」と搭乗前からサービス攻め。
 0時45分に搭乗開始。前から9番目のシートを中心に座ったが、中央の通路をはさんで左右2つずつの4列だから、かなり狭く感じる。0時55分にエンジン始動。50分にはもうコンコルドは動きだし、滑走路に向かった。燃料節約もあるが、フランスのメンツがあるから、混んでいるド・ゴール空港でもコンコルドは優先される。
 1時3分、コンコルドは猛然と大地を蹴るように離陸した。シートの背に体がめりこむような加速度。ストップウォッチで測ったら30秒で機首が上がった。2分後には客室の一番前に付いている大きなデジタルのマッハ計が「M0.47」を示した。
 左に旋回しながら急上昇する。「シートベルトをはずしてもいい」のサインが出たのは7分後だった。

◆音速突破→M2.02の巡航

 まもなくM0.95、M0.96あたりでマッハ計はストップしている。まだフランスの陸上を飛行中だから、衝撃波を出さないため音速以下にスピードを抑えている。そのころも、音速を超えたら「地上のガラスが割れたり、乳牛が乳を出さなくなる。ニワトリが卵を生まなくなる」とコンコルド反対の声が強かった。
 27分後に大西洋上に出た。「これからスーパーソニックに加速します」と機長がアナウンスした。ほとんど加速感はなかったが、マッハ計が1.00を超えた。「グー、グー」とモーターのうなりのような音がする。なぜか、M1.14、M1.15付近でマッハ計が行ったり来たりしている。
 スーパーソニックに加速して3分、M1.50になると、音は低い「ゴーッ」というシンプルなものに変わった。窓は小さいうえ他の旅客機に比べて高い位置にある。もっとも、雲や景色が見えるわけでなく、青黒い成層圏だけなのだ。M1.74あたりでコンコルドは少し上がっていた機首が下がり、水平になったようだ。
 M2.00になったのは離陸50分後である。松本零士が「やったぞ。わしは音速の2倍で飛んでるんだぞ」と叫んだ。マッハ計はM2.02で止まっている。コンコルドの巡航速度なのだ。

◆スチュワーデスのテレパシー

 乗客は約100人。スチュワーデスは2人。「ジャン・パトゥがデザインした制服。美人を選んでいます」とパンフレットに書いてあった。でも、決して若いとは言えないスチュワーデスである。ところが不思議なことに、通路をいくども歩いている彼女たちの笑顔が乗客の1人1人をとらえて放さないのだ。これこそベテラン・スチュワーデスのテクニックかと思ったら、松本零士が「彼女たちはテレパシー、予知能力があるんじゃないか」という。なぜかって。スチュワーデスは3、4席前のお客に食事を配っているのに、何か頼みたいと思う前に、こっちを見てニコリ。心に念じたものを運んでくる。やはり、エールフランスが自社の誇りをかけて選んだスチュワーデスなんだ。それとも搭乗前からシャンペンをサービスした彼女たちの作戦勝ちか? テレパシーを感じたのはわれら男性だけで、テレパシーをテーマに傑作を描いている萩尾望都が「私たちは、ちっとも感じない」というから。
 2時間15分たってスピードダウン。パリをたって、2時間39分でダカールに着陸した。

(つづく)
 
「書けなかったこと 書きたいこと」

◆コンコルド最後の飛行

 ダカールはアフリカ最西端の砂漠。ものすごく暑い。コンコルドからタラップで降りる時の燃えるような熱気。待合室2階の売店から黒人がドラムをたたいて呼び込みをやっている。いまから70年以上前、『星の王子様』の作家にして飛行家のサン=テグジュペリたちが、フランスのトゥールーズからカサブランカ、ダカール、さらに大西洋を越えて南米まで郵便飛行を敢行したルートだ。

◆25分でマッハ2.02

 給油を済ませ、1時間後、コンコルドはダカール空港を離陸した。ダカールからは、すぐに大西洋上だから、ただちにスーパーソニックをめざした。10分たってM1.00。シートベルト解放のサインはM1.09。25分後に巡航速度M2.02に達した。食事はランチともオードブルとも言えない中途半端なものが出てきた。ただし、キャビアが1カンずつついている。松本零士は「わしゃ嫌いだよ。千葉さん食べてくれ」。「もったいない、もったいない」とちばてつやはビスケットに2人分のキャビアを盛り上げてパクパク。そのうち「窓ガラスが熱くなってきた」と松本零士がさわっている。そんなことないはずなのに。「ムッシュ・マツモトどうぞ」とスチュワーデスが呼びにきた。東京のエールフランスでコクピット見学を頼んでおいたが、許可するかどうかは機長の判断だと言われた。

◆ギロチン台のコンコルド

 怪鳥のクチバシのような機首だから、やはりコクピットは狭い。それでいてDC-8や B.727並みの計器類の数があるから、左右の“壁”にそって後方までコクピットがきている感じ。とくに右側の航空機関士のパネルがギッシリと印象に残った。狭い空間に計器と機械がつまっていて、実験室かコンピュータールームみたい。
『宇宙戦艦ヤマト』の作者と知って、機長が「私も絵を描いています」と自作のマンガのコピーをさし出した。エールフランスのコンコルドがギロチン台にかかっている。断頭台のボタンは、コンコルド擁護と反対の両方の要素でバランスをとり、どうにか押されずに済んでいるところ。反対は航空燃料(石油)を減産して、値上げしているアラブの王様やリーダーたち。それに、自分たちのSSTを中止したためコンコルドに反感を抱いているアメリカのロビーストたちもギロチンのボタンを押す側に手を貸している。ソ連のSST Tu-144も左側で「どうしたことか」と首をかしげている。……これ以上、オイルショックが続いたら、コンコルドは抹殺される、という焦燥感を描いている。

◆20倍の燃料消費?

 たしかに、コンコルドの燃費は厳しい目で見られていた。コンコルドの乗客は100人でジャンボ機は500人。それなのにコンコルドはジャンボの4倍の燃料を食う。「4×5=20だから、乗客1人当たりで単純計算すると、コンコルドはジャンボの20倍も燃料を使っている」と非難されたものだ。
 コンコルドの運賃は、ファーストクラスの約15%アップだから、かなり高い。乗客のほとんどは「時間をお金で買おう」というビジネス客になるのは当然。当時のパリ-リオデジャネイロ線の座席占有率が63.3%だったから、エールフランスにとっても、かなり、きびしい状況だった。
 コンコルドは英仏共同開発だが、ド・ゴール大統領のいるフランスの方が、何かにつけ、声が大きく、政府の後押しも強力だった。コンコルドははじめ「Concord」で、日本のマスコミも「コンコード」と英語の発音で書いてきた。しかし、完成が近づくや、フランス語の「Con-corde」とeがつき「コンコルド」となった。強調という意味だが、やはり英国の方は気になったようで、1号機のロールアウトで英首相は「最後のeはEuropeの『e』であり、Englandの『e』でもある」とスピーチをしたのを想い出す。

◆「21万6,000円もらったぞ」

 そのフランス政府はわれわれが搭乗する前の1978年1年間に、コンコルドを運航するため3億200万フランの補助金を出している。この1年間のコンコルドの乗客は76,731人だ。乗客一人当たり3,936フランもフランス政府が払ってくれたのだ。1フラン55円だったから日本円で約21万6,000円にもなる。政府の補助金といっても税金だ。「それじゃ、コンコルドに乗るため、フランス国民から21万円以上もらったことになる。得したぞ!!」と松本零士。リオデジャネイロ到着は現地時間で午後2時半。所要時間21分だった。
 5月末でエールフランスのコンコルドは終わった。
 一昨年のパリの墜落事故があったとはいえ、イラク戦争、アメリカの巨大な影の力。やはり、コンコルドの機長のくれたマンガが本当になってしまった。