昨冬のインフルワクチンは壊滅的に効かなかった事をコソッと載せる国立感染研2020年02月04日 13:43

壊滅的に効かない昨冬のインフルワクチン
 インフルエンザワクチンは、一番タチが悪く流行も激しいA香港型には効果がほとんどない事を以前に書いた。その時は2シーズン前、2018年度のデータを紹介した。最新のデータを見るため、久しぶりに国立感染症研究所のサイトをのぞいたら、昨年度のワクチンは近年でも稀にみるどうしようもなく効かないワクチンだったという実験結果がコッソリ載っていた。
 なぜ効かないか。理由は簡単に言うとこうだ。WHOが推奨する、ワクチンの元になる種ウイルス自体は、もしも、それをそのまま注射したとすれば結構よく効く(図左の青が多い円グラフ)。この種ウイルスからワクチンを作る際、卵を使って培養するのだが、卵の中で増やすとウイルスが変化してしまう。結果、製造されたワクチンは流行しているA香港型にはほとんど効かない(図右の赤が多い円グラフ)。
 流行しているウイルスとワクチンのウイルスが近いほどよく効く。この図の倍率はウイルス同士がどれぐらい遠いかを示しており、4倍以内であればおおむね効くとされるが、8倍以上で効きが悪くなり、32倍以上になるとほとんど効かないそうだ。
 で、昨年度用の結果は、流行したウイルスを100種類ほど分離して実験したら、何と98%が16倍以上という壊滅的結果(残り2%も8倍以上)。ここ何年かでここまで真っ赤な円グラフは見た覚えがない。ずるいのは、16倍以上でくくっているので、32倍以上、64倍以上、・・・が何%ずつか分からない事。これでは気休めにもならないだろう。
 昔から問題なのだが、ワクチンを製造した段階で、元の種ワクチンとどれぐらい違っているか実験で分かる事だ。効きそうにもない欠陥商品と分かっていても出荷せざる得ないのだ。ワクチンメーカーも生活かかってるので、もし、効かないなら売れないという事になると、大して利益のないワクチン製造をするメーカーがいなくなってしまう。
 しかし、この結果を10月ぐらいにそっとHPに載せてだんまりの感染研て。
https://www.niid.go.jp/niid/images/flu/antigenic/20191001/2.jpg
インフルエンザウイルス流行株抗原性解析と遺伝子系統樹 2019年10月1日
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-antigen-phylogeny/9139-2019-10-1.html

インフルワクチンが効かない真の理由 製法に欠陥
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/01/25/9028880
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/01/29/9030231
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2020/02/01/9209055

補足 倍率の意味
 感染研の説明を見ただけではこの倍率がどういう事か分からないだろう。
フェレットにワクチン用のウイルスを注射すると、血液中にそのウイルスを専門的に攻撃する抗体ができる。その抗体が実際に流行したウイルスにどれぐらい効くかでワクチンの効果を判定しているのだ。
 抗体ができているフェレットの血液から上澄みの血清を採る。この血清と元のウイルスを混ぜると抗体とウイルスが目で確認できる反応を起こす。そこで、血清を10倍、20倍、40倍、80倍、・・・と半分ずつに薄めていく。どこまで薄めても反応が確認できるかで抗体の強さをみる。
https://www.niid.go.jp/niid/images/flu/antigenic/explanation/1.jpg
結果の見方の図にあるように、例えば、2560倍まで薄めても反応が見られたとする。この同じ血清に対し、実際に流行したウイルスで同じテストをする。640倍までしか反応しなかったとしたら、その倍率は4倍。160倍までだったら16倍だ。この倍率が大きいほどワクチンによって作られた抗体は流行したウイルスに対する攻撃力が弱い。本来はワクチンウイルス専用である抗体が、流行ウイルスの事を自分の担当しているウイルスではないと認識しているのだ。ワクチンの元になった種ウイルスで作った抗体は、流行ウイルスを同じか非常に近いウイルスと思って攻撃するのに、卵で培養した後のワクチン製造用ウイルスで作った抗体は流行ウイルスをかなり遠い親戚と見ている。
 ちなみに日本の季節性インフルエンザ用ワクチンは、A香港型、A新型、B型の3種類のウイルスを混合したもので、A新型とB型にはまあ効いてるかもしれない。

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