丸餅と角餅の分かれ目は 雑煮にも関ケ原の戦い2020年01月03日 13:35

雑煮の天下分け目
 ずいぶん昔だが、郷土料理研究家・奥村彪生さんに、雑煮に入れる丸餅と角餅の境界を聞きに行った。彦根、福井、岐阜の当たりに境がある。これは日清食品に聞いたどん兵衛の出汁境界ラインとよく似ている。食文化でも関ケ原当たりに天下分け目があるようだ。
 関東でも神事で撒く餅や鏡餅は丸い。一つ一つ丸める餅が本来なのだ。では、なぜ関東では角餅の雑煮が食べられるようになったのか。
 奥村さんによると、元旦の雑煮の習慣は江戸時代に広まった。角餅は急激に人口が増えた江戸での大量生産の工夫という。長屋住まいでは個々に餅つきなどできない。餅屋がそれぞれの家に平べったい長方形ののし餅を置いていく。それを固くなってから切った。
 一方、雑煮の味付け。関東では醬油を使うすまし汁、関西では京都の白味噌や北陸の赤味噌が一般的。だが、中国、四国の西から九州でもすまし汁になる。京都を中心とした同心円状に文化が広まるという柳田国男の周圏論にも似る。だが、京都の近くの彦根の家庭でも丸餅を使ったすまし汁が多い。参勤交代によって、江戸の文化が各地に広まったのではないかと奥村さんはみる。戦国時代までは、京都の公家文化が広がる同心円状だったが、江戸時代から京都と江戸という2つの焦点を持つ楕円文化になり、それが複雑化をもたらしたようだ。
 ちなみに実家は元々、角餅を焼き、すまし汁に入れる関東標準。それが、今は京都から取り寄せた丸餅を焼く奈良のような組み合わせ。味付けはすまし汁だから奈良と彦根のミックスという妙なことに。

コメント

_ 鍛治信太郎 ― 2020年01月06日 13:13

図が見にくかったのでもう少し鮮明な物に変えました。

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