なぜ生物学には常識を覆す発見が多いか 認知症薬失敗相次ぐに思う2019年08月29日 22:10

 アルツハイマー治療薬の治験失敗が相次いでいる。いずれも、アルツハイマーは脳内にアミロイドβがたまる事によって起こるという「アミロイド仮説」に基づく薬だ。製薬メーカーやアルツハイマー研究者は、「効果が出ない理由は脳内にアミロイドが増え始めてからアミロイドを減らす薬を使っても手遅れだから」と説明。アミロイド仮説は間違っていないという意見が主流だ。しかし、少数派の「アミロイドが主因ではない」という意見の方が分があるような気がする。
 もしも、アミロイドが主因でないとなれば、医学の常識や脳神経科学の常識を覆す発見と称されるだろう。が、生物の世界では昔から定説や常識を覆す発見が多い。なぜなら定説や常識に科学的根拠が乏しいからだ。アミロイド仮説もどれぐらい科学的検証が入っているのやら。???だらけだ。
 何年か前、京大が我々脊椎動物の祖先は定説だったホヤ(のような生き物)ではなく、ナメクジウオ(のような生き物)だったという遺伝子解析の結果を発表した。これ自体は素晴らしい研究だ。だが、「これまでホヤが祖先だというのが定説だったのは何故なんですか?」と教授に質問したら「大昔、生物学の偉い先生が形態を見た印象からそう言ったのが定説になったんです」。偉い先生がそう言ったから。「お話生物学」という言葉があるそうで、昔から生物学の常識や定説はこんなのばっかりだ。