三鷹事件弁護を依頼され解任された上告弁護士2019年08月02日 17:45

 上告専門弁護士・鍛治利一は三鷹事件の弁護を頼まれていたと人伝に聞いた事があります。
単独犯として有罪になった被告から「自分1人の犯行ではない」と切々と訴える手紙が届き、その方向で弁護する準備を進めていたら解任されたそうです。複数犯行という事になると都合の悪い勢力からのプレッシャーです。
 無実なのか、単独なのか、複数なのか。被告の供述は変遷しています。常識的には1人で計画、準備、実行できるような犯行ではないと思いますが。
 彼1人にすべてを押しつけた人たちがいるなら、その人たちにも何らかの理念や理想があったのでしょうが、己の崇高なる理想のためであれば他人の理想を踏みにじり、法を曲げてもいいという考えを私は認めません。

統計でウソ これは酷すぎ 日経の宝くじ高額当選者記事2019年08月03日 17:42

 これまでいろいろな統計でウソをつく例を紹介してきたが、さすがにこれは酷すぎる。

日経新聞8/2夕刊
>高額当せん者8割が「験担ぎ」 宝くじ購入時に
>宝くじの高額当せん者は、購入する際に8割が験担ぎをしていた――。みずほ銀行が2日までに発表した「2018年度宝くじ長者白書」で、こんな実態が明らかになった。担当者は「良い事があった時に買うとさらなる幸運を招くのでは」と話している。

「良い事があった時に買うとさらなる幸運を招く」事なんかあり得ないが、それを証明するなら、宝くじを買う人の何割が験担ぎをしているか調査しなければならない。健康食品のPRなどでよくあるが、こういうのを対照群(コントロール)のない調査という。

補足 訂正があります。

訂正 酷すぎは共同 宝くじのトンデモ記事
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/08/06/9138095

訂正 酷すぎは共同 宝くじのトンデモ記事2019年08月06日 13:01

日経の夕刊に載っていたのは確かだが、元は共同通信の記事だった。日経の紙面は(共同)と入ってないので分かりにくい。しかし、多くの新聞に配信されて使わなかった所もあるんだから、配信記事を載せた責任は免れない。
 それにしてもあざといやり口。本文中には「高額当選者の8割が験担ぎしていた」としか書いてない。でも、それじゃニュースにならないから、担当者の言葉「良い事があった時に買うとさらなる幸運を招くのでは」に責任を押しつけている。

統計でウソ これは酷すぎ 日経の宝くじ高額当選者記事
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/08/03/9136958

フジの対応に感動 -を+に変えようという根性は見習うべき2019年08月08日 11:46

 ちょっと前、休日にフジテレビの視聴者センターに質問の電話をした。例の長谷川豊・元アナウンサーの差別講演の件だ。「フジテレビには放送禁止用語リストはあるのか」、「それをちゃんとアナウンサーに教えているのか」と質問した。「コンプライアンスで云云かんぬん・・・」と、まあ当たり前の当たり障りがない答えが返ってきた。「ご意見を」というので、「放送禁止用語をもっとちゃんと教えて、放送で使えない言葉は講演会でも使っちゃダメだという事もきちっと教育した方がいいですよ」。と、ここまでは特にどうという事もないのだが。
「休みの日にすみませんね」と電話を切ろうとしたら、「いえ、フジテレビは年中無休です」(いや、それは制作のADとかの話で、営業とか広告とか一般業務の人は休んでるだろ、と思ったのだが)。さらに続けて、「CMなどでご存じと思いますが、本日はインディペンデンスデイを放映いたしますので、ご覧ください」「ええ、でも、第1作でしょう?」(言外にもう何度も見たよ感にじませ)「ですが、お客様、劇場未公開シーン地上波初放映ですので、ぜひ」
 いや、ネガティブで電話かけてきた相手に何とか会社の良いとこをアピールしてポジティブに持っていこうとするこの根性に感心した。これはオペレーター個人の工夫ではなく、おそらく部署をあげてやっているんだろう。
 朝のブリーフィングで「ダウンタウンなうでショーケン特集やるって言え」とか今日の一押し番組を周知しているんじゃないか。さすがに「ノイタミナ」とかはマニアック過ぎて言わないだろうし、吉本興業契約解除問題で渦中の相方が出ますとかも言いにくそうだが。
 結局、インディペンデンスデイ、最後の方、気になってちょっとみてしまった。とにかく見上げた根性。見習いたい物だ。

フジは社員に放送禁止用語教えてないの? 発禁用語多過ぎで長谷川発言の酷さを伝えられないマスコミ
http://kajiyan.asablo.jp/blog/2019/05/26/9077251

ニューステの大誤り JAL123便の急減圧はなかった 間違い指摘に反論はなかった2019年08月10日 11:15

 山の日の振り替え休日の8月12日。単独の機体によるものとしては史上最悪の航空機事故が起きた日だ。1985年、日本航空123便が御巣鷹山の尾根に墜落した。
 ニュースステーションという番組があった頃、この123便の事故で「急減圧はなかった」という特集をやったことがある。
 運輸省事故調査委員会による事故原因の概要はこうだ。飛行中、客室内より気圧の低い胴体後部と、気圧の高い客室とを隔てている後部圧力隔壁が破裂。客室から後部に空気が抜けて噴き出し、尾翼が破損。舵を動かす油圧の配管も壊れ、舵が利かなくなった。
 事故原因がそうであれば、空気が抜けた客室内に急減圧が起きたはず。だが、急減圧など起こっていなかった。だから、事故調の結論は間違っているというのだ。
 番組の中で、過去、急減圧を起こして最寄りの空港に緊急着陸した旅客機から降りてきた乗客の映像を流した。カメラを向けて話しかけると、乗客は声が聞こえないというジェスチャーをする。耳が痛くて聞こえないというのだ。過去の急減圧では乗客がみな耳の痛みを訴えているのに、JAL123便ではそんな報告がない。これが急減圧はなかったという根拠だった。
 航空ジャーナリストの鍛治壮一氏が雑誌でこの説は科学的に間違いだと指摘した。
彼は、パイロットなどが訓練を受ける施設を見学し、実際に急減圧の体験をしたことがある。実験室の仕組みを簡単に言うと、密閉された2つの部屋があり、一方の部屋で待機。もう一方の部屋の空気を抜いて薄くする。2つの部屋を隔てている仕切りを一気に開ければ、人のいる方の部屋の空気が抜けて、急減圧になる。
 彼はこれを実際にやってみた。温度と気圧が下がり、煙のような霧が発生する。空気に混じっていた水蒸気が水に戻る現象だ。耳は何ともなかった。
 そう、急減圧では耳は痛くならないのだ。ニューステは何を間違えたのか?
 私は割りに耳が気圧に敏感な方だ。この前、菅平まで車を運転して行った時、痛いとまでは言わないが耳にかなりの圧迫感と違和感を覚えた。車が高所から坂を一気に降りた時だ。耳の中、鼓膜より内側が低圧になっている時、外が高圧になると耳が痛くなる。潜水をする時と同じ。痛くなるのは、気圧の低い高所から気圧の高い低地に降りた時なのだ。
 航空機が急減圧になっても耳は痛くない。過去、急減圧が起きた航空機は高度を急激に下げ、緊急着陸している。急に気圧が上がるから、耳が痛くなるのだ。
 123便は尾翼が壊れて機体の安定が失われ、しかも、舵も利かなくなってよろよろと迷走し、高度1600mほどの地点に墜落した。急降下していないから耳が痛くならなくても不思議ではない。なお、機内の空気が霧のように白くなったという証言もある。
 この番組の問題点は、当時、タレント事務所も兼ねる制作会社が番組を作っていた事だ。テレビ局の報道部門のように事件の取材経験がある記者がいるわけではない。
 彼が雑誌に書いた記事にその番組制作者(おそらくディレクター)からクレームの電話があり、反論を書くと言っていたらしいが、結局、反論は載らなかった。
 ネタ元にはパイロットもいたらしい。その一団の関連はいまだに急減圧がなかったと主張している。さすがに耳が痛くないから説はとっくにやめているが。今度は急減圧の際はすぐ急降下する訓練を受けているのに、急降下してないから急減圧はなかったなどと言っている。機体のコントロールがまともにつく場合のマニュアル通りにできる状況だろうか。

なぜ生物学には常識を覆す発見が多いか 認知症薬失敗相次ぐに思う2019年08月29日 22:10

 アルツハイマー治療薬の治験失敗が相次いでいる。いずれも、アルツハイマーは脳内にアミロイドβがたまる事によって起こるという「アミロイド仮説」に基づく薬だ。製薬メーカーやアルツハイマー研究者は、「効果が出ない理由は脳内にアミロイドが増え始めてからアミロイドを減らす薬を使っても手遅れだから」と説明。アミロイド仮説は間違っていないという意見が主流だ。しかし、少数派の「アミロイドが主因ではない」という意見の方が分があるような気がする。
 もしも、アミロイドが主因でないとなれば、医学の常識や脳神経科学の常識を覆す発見と称されるだろう。が、生物の世界では昔から定説や常識を覆す発見が多い。なぜなら定説や常識に科学的根拠が乏しいからだ。アミロイド仮説もどれぐらい科学的検証が入っているのやら。???だらけだ。
 何年か前、京大が我々脊椎動物の祖先は定説だったホヤ(のような生き物)ではなく、ナメクジウオ(のような生き物)だったという遺伝子解析の結果を発表した。これ自体は素晴らしい研究だ。だが、「これまでホヤが祖先だというのが定説だったのは何故なんですか?」と教授に質問したら「大昔、生物学の偉い先生が形態を見た印象からそう言ったのが定説になったんです」。偉い先生がそう言ったから。「お話生物学」という言葉があるそうで、昔から生物学の常識や定説はこんなのばっかりだ。