日経、F35の誤報 位置情報発信電波がレーダーに映るなんて2019年04月19日 18:51

 F35Aの墜落が断定された日の夕刊1面に「訓練では機体から位置情報を発信して飛行するため、レーダーで捕捉できるという」と書いてあった。科学する心的に、位置情報発信機がレーダーに映るなんてあり得ないだろうと。プロに確かめたが、やはり、レーダーとは原理が違うので映らないそうだ。

 航空管制のレーダーは特定の波長の電波を出し、航空機などの物体にぶつかって跳ね返ってくる電波をレーダーアンテナで受けて、方向などを計る仕組み。前にも書いたように、F35のようなステルス機には電波の反射を故意に強くするレーダー・リフレクター(反射板)がついていて、これを開くことで、レーダーに映るようになる。これはレーダー波を反射しているだけで、情報を自ら発信する仕組みとは違う。
 航空管制が航空機の位置を知る方法は上記のレーダー以外にもいくつかある。
簡単にまとめると、

(1)二次レーダー(SSR)

 管制側から航空機に向けて問い合わせ電波を送ると、航空機に積まれているATCトランスポンダという装置から高度情報などを入れた電波が返って来るという仕組み。アンテナの方位と、問い合わせが返って来るまでの時間から距離を測り、航空機の位置を決める。二次レーダーに対して、上記のようないわゆるレーダーを一次レーダーという。

(2)マルチラテレーション(MLAT)

 航空機からの無線信号を複数の地上局(3カ所以上)で受信し、到着時間差から航空機の位置を特定する。

(3)ADS-B(放送型自動位置情報伝送・監視機能)

 航空機がGPSを使って、自分の位置、高度、速度を把握し、その情報を機体の識別信号と一緒に発信する。最新の位置情報発信システムだ。最近、浮気調査でよく使われるGPS発信機と同じような物。日本はまだADS-B搭載を義務化してないし、古い航空機には積まれていないが、やがて、今のレーダーに代わって航空管制の主役になるとされている。

 民間航空機では、マルチラテレーションもADS-Bも、二次レーダーの応答信号で使われる1090MHzの電波を利用している。問い合わせに対して応答信号を出す仕組みの二次レーダーに対し、ADS-Bは作動中ずっと放送している状態だ。
 F35Aの訓練中に使っている位置把握手段はマルチラテレーションとADS-Bのどちらか分からない。「訓練中は発信して飛行する」というのはいかにもADS-Bっぽいけど。
 The Aviationistという海外のサイトに、イスラエル軍のF35の位置情報を航空ファンの受信網がマルチラテレーションを使って捉えたというニュースが載っているから、民間航空機と同じ電波を使っているのは確かだろう。
 墜落の際、一次レーダーから機影が消えるのと、この電波信号が途絶えるのはほぼ同時だっただろうから、レクをする方も聞く方もよく分かっていなくて、2つの話がごっちゃになってしまったのではないか。まあ、イスラエル軍と違って、空自のF35がレーダーで捕捉できる独自の位置情報発信システムを積んでいる可能性もないではないが。
 それにしても、プロも驚いていたが、F35にADS-B的なシステム(AD-Bその物かもだが)が積まれていて、しかも、訓練中作動しているとは。アマチュアが三沢の近くにアンテナを立てたら、「おお、F35が飛んでる。位置と高度は○○で、速度は・・・」と全部分かってしまうってことだ。
 軍用機が自分の位置情報をさらすなんて、撃ち落としてくれと言ってるようなもんだが、示威行為のためにワザと発信することはある。「おれはここにいるぞ。近づいたらどうなるか分かってんだろうな」って、犬や熊のマーキングみたいに。でも、一般軍用機ならともかく、ステルス戦闘機でというのはびっくり。

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