神田蘭さんが志ん生をパクッたと思われたら気の毒 本郷和人教授の新聞連載2019年04月07日 15:28


 本郷和人東大教授が、日経新聞の連載で、講談師の神田蘭さんの話として、「同じ芸の道に励む者同士、私と彼とはまあ同じくらいのレベルだな、と思っている場合、実は彼の方がうまい。彼はうまいな、私はちょっと負けるな、と感じたら、2人の間には相当な実力差がある」というのを引用している。
 これは、昭和の名人・古今亭志ん生の著書「びんぼう自慢」に出てくる言葉だ。
曰く、「他人の芸を見て、あいつは下手だなと思ったら、そいつは自分と同じぐらい。自分と同じぐらいと思ったら、かなり上。うまいなあと感じたら、とてつもなく先を行っている」

 若手の神田さんはこの本を読んでないかもしれないが、話芸の世界ではとても有名な本なので、読んだ先輩たちからの孫引きであろう。神田さんが志ん生の言葉をパクッたと曲解されて伝わったら気の毒だ。本郷教授は芸の世界の話として聞いたと書いているが、この書き方だと、神田さんが自分の言葉のように語ったと受け止めてしまう読み手も多いだろう。