インフルワクチンが効かない理由2 欠陥商品だから2019年01月29日 17:25

 ちょっと前に、ほとんど世間に知られていない、「インフルワクチンが効かない真の理由」を書いたのだが、ワクチン教の人からも反ワクチン教の人からも全く反応がない。
 ツッコミどころを残して置いたのに。
例えば、インフルワクチンはA香港型、新型A(H1N1型)、B型のワクチン3種類を混ぜた製品で、欠陥商品なために効かないのは、一番タチが悪くて、流行も激しい香港型。新型Aはワクチン化による変化が少なく割と効くかもしれないのだ。B型もA香港型よりは少しマシだ。
 また、仮に欠陥商品ではなかった場合にもどれぐらい効くかはわからない。感染を阻止したり、発病を抑える力はないという説が一般的だ。ただ高齢者や幼児など命に関わる患者で重症化を防ぐ効果があるとされる。
 反響がないのは、根拠が国立感染症研究所の研究という強すぎるソースだから、ツッコミにくいのだろうか。同僚の中には、個人のSNSで根拠のない世迷い言のような推測を巻き散らかして「炎上商法」をやっている者がいる。しかし、職業倫理上、そんなマネはできない。何より、根拠もない邪推をまき散らすなんて、科学する心が許さない。

 せめて、感染研のサイトのどこにそんな事が書いてあるんだという反響ぐらいあってもいいじゃないか。

 ジョークはさておき、感染研のソースを見てみよう。
データ上、特にひどかったのは2012年から2013年にかけての流行シーズン用のワクチンだが、昨季と今季の調査結果も下のURLに載っている。

https://www.niid.go.jp/niid/images/flu/antigenic/20181009/H3N2.jpg
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/flutoppage/2382-flu/flu-antigen-phylogeny/8363-2018-10-10.html

 この図を見ても専門家以外、何のことか分からないだろう。
今は結果の見方の解説があるので多少分かりやすくなったが、最初の頃はもっとひどかった。素人ながらこの分野の事を随分勉強してきたつもりの自分でも、初めて見た時、どういう事か理解するまで小一時間かかった気がする。
 ごく簡単にいうと、この図に出てくる倍率は、インフルのウイルスを抗体と反応させ、抗体を作るのに使ったウイルスとどれぐらい違うかを見たものだ。倍率が小さいほど近いウイルス。2倍以下と4倍(青色)はよく似たウイルス、8倍以上(赤色)は違いの大きいウイルスだ。8倍以上違うウイルスをワクチンにすると効きが悪い。
 で、この図を見ると、ワクチンの種(たね)に使ったウイルスは、実際に流行したウイルスとよく似ている。ところが、種ウイルスを卵で培養した後のワクチン用ウイルスは昨季で8割、ややマシな今季でも7割が元の種ウイルスと8倍以上違っちゃっているのだ。つまり、種ウイルスそのままだったらまあ効くはずが、作る過程でウイルスが変化し、効かないワクチンになっている事をこの図は意味する。