宝くじのバラは高額当選確率が連番の2.5倍になるのはなぜか③ 練習問題 モデルを作ってみよう2018年12月12日 22:24

 8年前、初めて「バラの高額当選確率は連番の2.5倍」を世に出した時は、1枚100円、100枚のくじをモデルにして説明した。もう少し、ジャンボくじに形式の似ているモデルを作って練習問題にしてみた。
 1枚100円で、1組~10組、各組0~99の番号がある1000枚のくじを考えてみる。
1等は3万円、前後賞各1万円とする。たった1000枚でもだいぶジャンボ宝くじに似てきた。

 連番で、2組の40~49番、バラで、1組09、2組18、3組27、4組36、5組45、6組54、7組63、8組72、9組81、10組90と10枚ずつ買った。

問題

①連番とバラ、それぞれで、1等前後賞のどれかに当たる確率は何%か。
②連番とバラ、それぞれで、期待値(賞金額にその当選確率をかけたものの和)はいくらか。
③このくじの還元率(払い戻し率)はいくらか。

宝くじに詳しくない人は、00や99のとき、前後賞はどうなるのか疑問かもしれない。00の前は同じ組の99、99の後ろは同じ組の00と決まっている。試しに、連番で0~9番を買った場合やバラに00や99が含まれている場合も計算してみれば、結果は同じになることがわかる。バラの10枚の中に組のダブりはないというルールを守っていれば、どんな組み合わせでも結果は同じだ。

 では、答え。

①どれかに当選する確率

 連番の場合 どれかに当たるのは1等が「2組の39~50」の12個のうちのどれかだった場合だけ。確率は12/1000=250分の3=1.2%。
 バラの場合 どれかに当たるのは1等が1組の08、09、10など各組3個、計30個のどれかだった場合。確率は30/1000=100分の3=3%。
 当然、バラは連番の2.5倍だ。

②期待値

 連番の場合 1等前後賞総取りなら5万円。1等が「2組の41~48」の8個のうちのどれかで確率は8/1000=125分の1=0.8%。1等と前または後の同時当選なら4万円。1等が40か49のときで、確率は2/1000=500分の1=0.2%。前後賞どちらかのみは、1等が39か50のときで、確率は同じく0.2%。

 期待値 5万×0.8%+4万×0.2%+1万×0.2%=500円

 バラの場合 1等前後賞、どれが当たる確率も1000分の10で、1%。

 期待値 3万×1%+1万×1%+1万×1%=500円

当然同じになる。10枚1000円買って500円しか期待できない。ジャンボくじなどの宝くじとよく似たくじなのだ。

③還元率(払い戻し率)

 賞金総額は5万円。売上総額10万円。従って、還元率は、5/10=50%。
期待値は購入額に還元率を掛けたものということからも10枚1000円の期待値500円は求まる。
売上総額の大きいくじでは、統計的に、購入額が大きくなればなるほど、実際に受け取る額は(多少上下の波はあるが)期待値に近づいていく。そして、すべて買い占めれば当然、期待値=賞金総額となり、完全に一致する。

 次回のために、ちょっと準備。ここで急に、小学生にも分かる理屈が、高校数学になる。当選の確率を順列組み合わせの組み合わせで計算する方法があるのだ。
 1等賞前後賞が決まったとして、1等前後賞のどれかが当たるバラの組み合わせを、あらゆるバラの組み合わせで割れば、とれかに当たる当選確率が求まる。
 1等が2組の37番だとしたら、どれかに当たるバラの組み合わせは2組の36、37、38番という3つのうちのどれかが含まれる組み合わせだ。残りの9組は0~99のどれでもいい。組み合わせは3×100×100×・・・(100を9回かける)。あらゆるバラの組み合わせは各組の0~99から1つずつ選ぶから、100の10乗になる。

確率は、3×100の9乗÷100の10乗=3÷100=0.03=3%

 ここでは、バラの下1桁は0~9がそろってないといけないという条件を無視した。興味がある人はこの条件を入れた組み合わせでも確率が同じことを確かめてください。
 さて、次回はこれを踏まえて、もしも、バラが本当にランダムなバラバラだったら、計算がどれほど面倒かを取り上げる。高校の数学がトラウマになっている人(それ以前に中学の数学で挫折した人はもちろん)にとっては悪夢のような回なので、見ないことをお勧めする。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kajiyan.asablo.jp/blog/2018/12/12/9011319/tb