凄まじい反響だった「宝くじの高額当選確率 バラは連番の2.5倍」(4)他人(私)のふんどしでアクセス集めたブログ2018年11月19日 22:50

 (1)でも書いたが、8年前の2010年11月、私がこの2.5倍というおそらく初の指摘をすると、即座(ほぼその日のうち)に、ある個人のサイト(ようするにブログだけど)がこれについて取り上げた。
 「宝くじの買い方、連番よりバラの方が当選確率が高い」というタイトル。このブログ主は私が書いたことは「間違いだ」と思って、その誤りを証明するためにブログでその検証を始めたらしい。

 さて、この彼だか彼女だかわからないブログ主は最初の方で「高額当選という言葉」「そもそも、普通の人が日常的にこんな言葉を使うことは少ないはず」と書いている。私も普通の人は「高額当選という言葉」を使わない気がするが、宝くじが好きな人、宝くじへの関心が強い人は高額当選という言葉を使う。実際、そういう質問をQ&Aサイトで見たし。
 このことから、この人は、宝くじにあまり詳しくないらしいとわかる。ただし、確率に変化が起きるみたいな不思議なことを書いているので、確率に関しても生半可にかじっているだけで、確率の専門家ではないようだ。
 そして、この人が最もひっかかっていたのは、私がこれまでの(1)~(3)であえて詳しく解説しなかった「バラだと2つ以上同時にあたることはない」という点だ。
 この2つ以上とは1等、前後賞の3つのうち、どれか2つもしくは全部のこと。
 確かに8年前、私はなぜ同時に当たらないのか説明をしてなかったが、断定する以上は確かな根拠があることを行間から読み取ってほしかった。
 で、結局、この人、その疑問について確定的な答えも得られず、約半年後の2011年6月、ブログに続編を書き、私の2.5倍説について、厳密な証明はできないが正しそうと曖昧な軍配を上げている。そんな曖昧さにもかかわらず、このネタでものすごいアクセス数だったらしい。当時は一般的ではなかった今風の言い方にするとPV荒稼ぎしたようだ(他人のふんどしで)。
 私もこの人よりは確率について正しい知識を持っていると思うが、専門家ではない。だから、私の導いた答えを確率の専門家に検証してもらった上で書いているのだ。
 さて、バラで同時当選はないことを、この人は半年もかけて結局突き止められなかった。私ならそれを確かめるのにおそらく1週間もかからない。それは能力の差の問題ではない。この人と私のやり方に決定的な違いがあるからだ。
 この人はバラについて、ネットだけで答えを探そうとしていた。だが、それはあまり賢いやり方ではない。必要とする答えを得るという目的に照らして、ネットには良質な情報がない場合が多い。
 もしも私なら、どっかヒマそうな宝くじの売り場に行ってそこのおばちゃんかおじちゃんに「バラって、1等と前後賞一緒に当たらないの?」ときく。そうすればすぐ教えてくれるだろう。
 宝くじを買わなければならなくなるのがイヤというなら、気持ちは分かる。それなら宝くじの発売元に電話して聞いてみればいい。彼らはサービス業だからそういう問い合わせに親切に答えてくれるはずだ。電話代の数十円が惜しい? それとも、ブログではあんなに饒舌なネット弁慶だが、知らない人とは会話できない人見知りさんなのだろうか。
 では、種明かしをしよう。バラは本当にバラバラで、でたらめな数字の10枚ではない。いくつかの規則性があるバラバラなのだ。
 まず、バラ10枚の番号で末尾の数字は0から9の10個がそろっている。だから、連番と同じで7等300円が必ず1枚当たる。
 そして、ポイントだ。バラ10枚はすべて組が違う。1等と前後賞は同じ組だから絶対同時には当たらないのだ。
 それ以外にも何か規則性があるらしいが、面倒なので省略。
以上のバラの仕組みについては私も知らなかった。知らなかったから宝くじの専門家に教えてもらったのだ。
 おもしろいことに、確率の方の専門家に私の100枚くじのミニモデルを検証してもらった時、やはり、バラは同時当選がないことを知らずに最初は計算していた。バラは完全にランダムに選ばれた10枚で、その中にたまたま連続する数字が含まれる場合もあると考えてしまいがちなのだ。

 さて、初回(1)の疑問に戻ろう。バラは2.5倍という小学生にもわかるような理屈を2010年11月の私以前に指摘した人がなぜいなかったのか。賢明な人はもうお気づきだと思う。
 答えは簡単だ。
確率を知っていたら宝くじなんて買わない。
そして、宝くじを買う人は確率なんか知らない。
だから、宝くじと確率の両方のことをよく知っている人がいないのだ。
 前回に書いたが、年末ジャンボなどの宝くじの払い戻し率は50%未満。10枚3000円買って期待できる賞金額は1480円ぐらいなのだ。競馬、競艇、パチンコなどあらゆるギャンブルと比べて、もっとも割に合わない。確率を知ってたらもうバカらしくて。
 確率の専門家はそもそも宝くじに興味ないし、バラの仕組みとかよくわからないから、検証してみようなんて思わない。これが意外にロトとかだとそのシステムが数学や確率論の対象として面白いらしい。つまり、「バラは2.5倍」は誰でもわかるようなことだが、誰も考えてみようとしなかったのだ。

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